1日10回「早くして!」と言ってしまうママが劇的に変わる方法

コラム
早くしてを減らす方法

第1章|なぜ「早くして!」を繰り返してしまうのか?

🔹 毎日繰り返す「早くして!」の正体

朝の支度で何度も同じことを言っている自分に気づいて、ふと「私、今日だけで何回『早くして』って言っただろう?」と思ったことはありませんか?

  • 服を着るのに10分
  • ご飯がなかなか進まない
  • 歯磨きを促してものんびり

気がつけば1日10回以上「早くして!」と口にしているママも多いはずです。

でも、それだけ言っているのに、子どもはなかなか変わらない。 それどころか、ママもイライラ、子どもも不機嫌…… そんな日常に、心がくたびれていませんか?

この章では、そもそもなぜ「早くして!」が止まらないのか、 その原因を“子ども”ではなく“仕組み”の視点から解き明かしていきます。

🔸 「早くして!」は反射的な“防衛行動”

まず知っておいてほしいのは、 「早くして!」という言葉は、ママが“わざと怒ろうとして言っている”のではない、ということです。

これは、時間の制約や焦り・不安を感じたときに脳が反射的に出す防衛行動のようなもの。

時間が迫ってくると、私たちの脳は冷静な思考ができなくなり、 「とにかく早くさせなきゃ!」という強いストレスモードに入ってしまいます。

その結果、子どもに対して「早く!」「なんでできないの?」「また遅い!」といった言葉が口からこぼれてしまうのです。

🔸 ママ自身も“戦っている”ことを自覚していい

「早くして!」が止まらない背景には、 ママ自身の「時間との戦い」「不安」「完璧でいようとする気持ち」が隠れていることが多いです。

  • このままだと遅刻してしまう
  • 周りに迷惑がかかるのが怖い
  • ちゃんと子どもを育てられていない気がする

これらは、すべてママの「愛情」から生まれるもの。

でも、その気持ちが“怒り”という形になってしまうと、 子どもにも自分にも苦しい毎日になってしまいます。

➡ だからこそ、「自分が悪い」と責めるのではなく、 「じゃあどうしたら“怒らずにすむ環境”をつくれるか?」という視点が大切になります。

🔸 子どもが遅い“理由”は、怠けや反抗ではない

「どうしてこんなに時間がかかるの?」 と思ってしまう場面。

たとえば、朝の支度でこんなやり取り、ありませんか?

👩「早くパジャマ脱いで着替えてって言ってるでしょ!」

🧒「わかってるよ〜〜〜(でも動かない)」

👩「もう、何回言えばいいの!?」

でも、子どもがマイペースに見える理由は、 決して「のんびり屋だから」「親を困らせようとしてるから」ではありません。

✔ 空間認知が未熟で、服の前後や左右がわからない
✔ 実行機能(段取り力)が育っておらず、何をどこからやればいいかわからない
✔ 親の言葉を聞いても、すぐに忘れてしまう(ワーキングメモリの弱さ)

子どもにとっては、“まだ難しい”ことを、 ママの時間感覚で「すぐできるでしょ」と言われてしまっているのです。

🔹 本当の原因は“子ども”ではなく“仕組み”にある

「うちの子って、なんでこんなに遅いの?」 そう感じてしまう日もあります。

でも実は、子どもが「遅くしている」のではなく、**発達的に“まだ速くできない”**ことが原因である場合がとても多いのです。

たとえば:

  • 洋服の前後や左右が分からない(空間認識)
  • 「ズボンをはいて、靴下をはいて、リュックを背負う」が順序立ててできない(実行機能)
  • 大人の指示を聞き取って覚えきれない(ワーキングメモリ)

これらはすべて、脳の成長途中にある子どもにとって、まだスムーズにできないこと。

🔸 さらに、親が「この時間までに!」というプレッシャーを強く感じていると、 自分の不安や焦りが“子どもへのイライラ”として現れてしまいます。

➡ つまり、「早くして!」は、

  • 子どもの発達課題
  • 親の時間的・心理的プレッシャー この2つが重なった時に出てくる言葉なのです。

第2章|「早くして!」の副作用とは?

「今日もまた『早くして!』って何度も言ってしまった…」 そんな後悔を、寝かしつけのあとに感じたことはありませんか?

けれど、「早くしなさい」と言うことで、親が望む行動がすぐにできるようになるどころか、実はその言葉が子どもの心や行動発達に影響を与えるということをご存じでしょうか?

この章では、「早くして!」という言葉が子どもに与える3つの大きな副作用について、発達心理学や脳科学の観点から解説していきます。

🔹 副作用①:子どもの“自己肯定感”が下がる

自己肯定感とは、「自分は大切な存在だ」「自分には価値がある」と感じられる心の土台です。

この感覚は、幼少期の親子の関わりの中で、少しずつ育っていきます。

しかし、毎日何度も「早くしなさい!」「なんでできないの!」「また同じこと言わせて!」と言われ続けてしまうと、子どもは次第にこう思うようになります。

  • 「ぼくはまた怒られる」
  • 「私はママに迷惑をかけてるのかも」
  • 「どうせ自分はうまくできない」

このような思考が積み重なると、子どもは自分を否定するようになっていきます。

また、何かをやる前から「どうせ失敗するからやらない」と、チャレンジする意欲も下がってしまいます。

🔹 副作用②:「ママに怒られないように動く子」になる

「うちの子、私の顔色ばかりうかがっていて…」 そんなふうに感じたことはありませんか?

子どもはもともと、大人の期待に応えようとする力を持っています。

しかし、怒られないように動くクセがついてしまうと、

  • 自分の気持ちよりも親の機嫌を優先する
  • その場しのぎの“イイ子”を演じる
  • 指示されないと動けない

という状態になりやすくなります。

これは、一見「よく言うことをきく子」に見えるかもしれませんが、 本当は「怒られたくないから動く」という受け身の行動なのです。

こうした行動は、やがて自己判断や自己表現が苦手になる土台となることもあります。

🔹 副作用③:脳の“やる気スイッチ”がオフになる

脳には「やる気」や「集中力」をコントロールする神経伝達物質があります。 そのひとつが、ドーパミン。

ドーパミンは、「できた!」「ほめられた!」という喜びによって分泌され、 行動のモチベーションとなります。

でも、怒られてばかりだったり、「急げ」「なんでまだできてないの?」という否定のシャワーを浴びると、 このやる気の物質が出にくくなってしまいます。

➡ つまり、「早くして!」という言葉は、 子どものやる気を高めるどころか、逆に“やる気スイッチ”をオフにしてしまう可能性があるのです。

🔹 子どもは「言葉の意味」よりも「感情のトーン」を受け取る

たとえば、「早くしてね〜♡」と笑顔で優しく言うときと、 「何回言ったらわかるの!?早くしなさい!!」と怒鳴るときでは、 子どもが受け取る印象はまったく違いますよね。

脳科学の研究でも、子どもは言葉の“意味”よりも、声のトーンや表情から感情を読み取るということがわかっています。

つまり、たとえ同じ言葉でも、 強い口調で繰り返されることで「怖い」「責められている」と感じやすくなるのです。

➡ だからこそ、「言い方」や「声のトーン」も、子どもの心の状態に強く影響するのです。


このように、「早くして!」は子どもにとって決して無害な言葉ではありません。

でも、だからといって「絶対に言ってはいけない!」ということでもありません。

次章では、そんな“やめたいけど、やめられない”を解決するために、 ママの心と行動のベースを整える3つのマインドセットについてお伝えします。

第3章|「早くして!」を減らすための3つのマインドセット

子どもを変えようとする前に、ママ自身の“見方”や“考え方”を少し変えてみることで、驚くほど子育てはラクになります。

ここでは、「早くして!」を繰り返さないために、まず心に持っておきたい【3つのマインドセット】をご紹介します。

🔸 1. 「時間通りに動けない=悪いこと」ではない

「時間に遅れる=だらしない」「ちゃんと育ててないと思われるかも」 そんなふうに、ママ自身が“時間の正しさ”に縛られていることはありませんか?

もちろん、社会のルールとして時間を守ることは大切です。 でも、発達途中の子どもにとっては、まだ「時間の感覚」そのものが育っていないことがよくあります。

➡ だから、時間通りに動けないのは“能力の欠如”ではなく、“成長途中の姿”なのです。

子どもが時計を理解し、自分のペースを調整できるようになるには時間がかかります。 まずは、「今できないこと=ダメなこと」という思考から離れてみましょう。

🔸 2. 子どもに“悪気”はないと知る

遅い行動や忘れ物が続くと、つい「わざと?」「反抗してる?」と思いたくなりますよね。

でも、発達心理の視点から見れば、 子どもは「まだできない」「脳の機能が追いついていない」だけのことが多いです。

  • 脳のワーキングメモリが少なくて、複数の指示が入らない
  • 1つのことに集中しすぎて、次に移れない
  • 段取りの力が弱くて、何から始めていいかわからない

➡ ママの「どうしてできないの!」を、「どうしたらやりやすくなるかな?」に変えるだけで、声かけや環境づくりがガラッと変わります。

🔸 3. “ママの余白”があるだけで、子どもも落ち着く

「早く!」と言いたくなるときって、だいたいママの心にも“余裕”がないときではありませんか?

  • 睡眠不足
  • 自分の予定が立て込んでいる
  • 誰にも助けてもらえないと感じている

➡ そんなとき、ママの脳は「いまこの子に何が起きているか?」を感じ取る力(共感性)がぐんと下がってしまいます。

でも逆に、

  • 少しでも早起きできた日
  • 誰かとちょっと笑えた日
  • 好きな飲み物を飲む余裕があった日

そんな“小さな余白”があるだけで、ママは「怒らずに見守る」力を取り戻すことができるのです。

だから、「子どもに変わってほしい」と思ったときこそ、 まずはママ自身の生活や心のバランスを整えることが第一歩なのです。


次章では、いよいよ「じゃあ具体的にどうすれば“早くして!”を減らせるのか?」について、 家庭で今日から始められる実践例をご紹介していきます。

第4章|“早くして!”を言わずにすむ家庭の工夫5選

ママの考え方が少し変わっても、日常生活の流れそのものが“怒りやすい仕組み”になっていたら、 また元通りになってしまいます。

だからこそ大切なのは、家庭の環境そのものを“怒らなくて済む設計”に変えること

ここでは、親子に無理のない形で「早くして!」が自然と減る、家庭内での5つの実践工夫をご紹介します。

🔸 1. 見える化:朝の支度ボード

「何からやればいいのかわからない」という子どもには、 “やることを見える化”するだけで行動が変わります。

例えば、

  • 起きる
  • 顔を洗う
  • 着替える
  • 朝ごはんを食べる
  • 歯をみがく
  • リュックを持つ

この流れをボードに貼って、終わったらマグネットで「できた!」に動かすなど。

➡ 順番がわかることで「次は何?」と聞かなくても動けるようになります。

🔸 2. 時間の流れを“目で見せる”工夫

時間感覚が育っていない子どもには、「あと○分」を言葉で伝えてもピンときません。

そこでおすすめなのが、

  • 視覚タイマー(残り時間が赤く見える)
  • キッチンタイマー(音が鳴る)

など、“時間の経過が見える・聞こえる”アイテムの活用です

➡ 「5分後に出発だよ」が、子どもにも実感として伝わります。

🔸 3. 朝の親子のタスクを“減らす”

「早くして!」が出る背景には、ママ自身のタスク過多があります。

  • 洗濯物干し
  • お弁当づくり
  • 子どもの声かけ
  • 自分の身支度

これらを同時にやるのは、もはや“朝の戦場”です。

可能であれば、

  • 前日の夜に準備をすませておく
  • 朝食は定番メニューで固定する
  • 子どもの着替えをリビングにセットしておく

など、“考えなくても回る仕組み”を作ることで、余裕をつくりましょう。

🔸 4. 声かけの“主語”を変えてみる

「早くして!」ではなく、

  • 「ママ、そろそろ出かける準備したいな」
  • 「ママが助かるのは、○○してくれることなんだ」

など、“命令口調”ではなく、“お願い・共有”のかたちで伝えると、 子どもも反発せずに受け取りやすくなります。

➡ 自分の行動が誰かのためになっているとわかることで、子どもは動きやすくなるのです。

🔸 5. 「できた!」を一緒に喜ぶ時間を増やす

つい「まだできてないこと」に目がいきがちですが、

  • 自分で服を着られた
  • お茶碗を下げられた
  • 靴を自分で履けた

など、“できた行動”を見つけて、その場で言葉にして伝えることがとても大切です。

  • 「今、自分でできたね!かっこいい!」
  • 「昨日より早く準備できたね!」

➡ こうした“成功体験”が、次の行動へのやる気につながります。


次章では、まとめとして「子どももママも、穏やかに過ごせる毎日を取り戻すためのヒント」をお届けします。

第5章|子どももママも笑顔になれる毎日を目指して

ここまで読んでくださったママへ。 「早くして!」という言葉の裏にあった、自分の焦り、不安、責任感……たくさんの気持ちに気づいたのではないでしょうか。

この章では、最後にママ自身が“自分を責めない”で済むための考え方と、子どもと笑顔で過ごすためのヒントをお伝えします。

🔸 1. 「言ってしまった…」は成長のサイン

つい「早くして!」と言ってしまった。 「また怒ってしまった…」

そんなとき、ママは落ち込んでしまいがちです。 でも、気づけることがもう、第一歩なんです。

  • 無意識に怒っていた過去の自分
  • 「ちょっと言いすぎたな」と思える今の自分

この“違い”こそが、子育ての変化です。 気づけた自分を、まずは小さく褒めてあげてください。

🔸 2. 親子で“できたこと”ノートをつけよう

今日怒らなかった瞬間は? 子どもが自分で動けたことは?

そんな“できたこと”を一緒に書き出すノートをつくってみましょう。

  • ママ:今日は7回中3回、「早くして!」って言わずに済んだ!
  • 子ども:くつしたを自分で履けた!

毎日じゃなくてOK。 週に1回でも、3日に1回でもいいのです。

➡ 振り返る習慣があることで、ママ自身が“変わっていること”に自信が持てます。

🔸 3. 「早くして!」を卒業できた日には…

もし1日、「早くして!」を言わずに過ごせたら、自分にごほうびをあげましょう。

  • コンビニスイーツを食べる
  • お気に入りのカフェに行く
  • 夜、10分だけ自分の好きな動画を見る

小さな「がんばったね」を積み重ねることで、 ママの心も、少しずつほぐれていきます。

おわりに:ママが変われば、子どもも変わる

「早くして!」を減らすというのは、ただ言葉を我慢することではありません。

  • 子どもを理解する目を持つこと
  • 自分自身の心と生活に余裕をつくること
  • そして、家庭の環境そのものを整えること

その一歩一歩が、ママをラクにし、子どもの“できた!”を増やしてくれます。

ぜひ、今日からできることをひとつだけでも、試してみてください。

あなたの子育てが、もっと優しく、あたたかいものになりますように。

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